月読宮の由来 ― 月読尊を祀る内宮別宮と、その四宮について

はじめに

伊勢の神宮には、正宮のほかに「別宮 (べつぐう)」と呼ばれる格の高い宮がいくつもある。そのうち、皇大神宮 (内宮) の別宮の一つが月読宮 (つきよみのみや) である。内宮からは少し離れた伊勢市中村町の地に鎮まり、四つの宮が並び立つ静かな一画をなしている。私は散歩の折にこの宮を訪れることが多いのだが、その由来を通して書きとめたことがなかった。本記事では、月読宮の御祭神とその由来について、私の覚書として整理してみたい。

月読尊という神

月読宮の御祭神は月読尊 (つきよみのみこと) である。月を司る神とされ、天照大御神・須佐之男命と並ぶ神として記紀に登場する。

『古事記』では、伊邪那岐命が黄泉の国から帰り、禊 (みそぎ) をされた際、左の御目を洗って天照大御神が、右の御目を洗って月読命が、鼻を洗って須佐之男命が生まれた、と伝えられる。天照大御神が日を、月読命が夜を治めるものとされたと記される。

一方『日本書紀』神代巻には本文と複数の「一書 (あるふみ)」があり、月読尊の誕生の次第は伝えによって細部が異なる。ある一書には、月読尊が保食神 (うけもちのかみ) のもとに遣わされ、これを斬ったために、天照大神が怒り、以後、日と月とが昼夜を隔てて住むようになった、という説話も見える。もっとも、月読尊は記紀に名が見えるわりに事績の記述が乏しく、その神格については古来さまざまに論じられてきた。私に確たることを断ずる用意はない。

域内に並ぶ四つの宮

月読宮の一画には、四つの別宮が横に並んで鎮座している。神宮司庁の解説によれば、向かって次の四宮とされる。

  • 月読宮 ― 月読尊
  • 月読荒御魂宮 (つきよみあらみたまのみや) ― 月読尊荒御魂
  • 伊佐奈岐宮 (いざなぎのみや) ― 伊弉諾尊
  • 伊佐奈弥宮 (いざなみのみや) ― 伊弉冉尊

月読尊の「和御魂 (にぎみたま)」と「荒御魂 (あらみたま)」をそれぞれ宮として祀り、あわせて月読尊の親神にあたる伊弉諾尊・伊弉冉尊を祀る、という構成である。四宮が肩を並べて建つ姿は、他の別宮にはあまり見られないもので、参拝には慣例の順序が案内されている。いずれの宮も、二十年に一度の式年遷宮の折に、正宮とともに新たに建て替えられる。

月読宮と月夜見宮 ― 名の紛らわしさ

月読宮を語るとき、避けて通れないのが、外宮 (豊受大神宮) の別宮である月夜見宮 (つきよみのみや) との区別である。

両者は読みがともに「つきよみのみや」であり、御祭神も月の神である点は通じている。しかし、表記は「月読宮」と「月夜見宮」で異なり、鎮座地も、格を属する正宮も別である。月読宮は内宮の別宮として伊勢市中村町に、月夜見宮は外宮の別宮として外宮の北方、宮後の地に鎮まる。地元でも、両宮はしばしば混同される。名の近さゆえに取り違えられやすいので、由来を記すにあたっては、この違いをはっきりさせておくのが親切であろうと思う。

別宮としての沿革

月読宮の名は、延暦二十三年に成立したと伝わる『皇大神宮儀式帳』にすでに見えるとされ、古くから内宮に属する宮であったと考えられている。皇大神宮の別宮は現在十宮を数えるが、その序列において、月読宮は首位の荒祭宮に次ぐ位置に置かれる、と神宮関係の資料は伝える。

ただし、四宮それぞれの成立の時期や、和御魂・荒御魂を別々の宮として祀るに至った経緯については、史料の上でなお検討の余地があるように見受けられる。古代の由緒を一律に断定することは慎むべきで、ここでは「古くからの由緒を伝える宮である」という程度にとどめておきたい。

私見

老生が月読宮を訪れて感じるのは、その静けさである。内宮の賑わいとは異なり、四宮の前に立つと、月の神を祀るにふさわしい、しんとした気配がある。月読尊が記紀にあってなお多くを語られぬ神であることと、この宮の控えめなたたずまいとが、どこか響き合っているように、私には思われる。もっとも、これは私の感想にすぎず、由緒の解釈とは切り離して受け取っていただきたい。

おわりに

月読宮については、四宮の参拝順序の慣例のこと、式年遷宮における造替の次第、また月夜見宮との対比など、なお書きとめておきたい事柄が残っている。本記事は由来の輪郭を記した覚書であり、機会を見て、それぞれの主題ごとに改めて整理してゆきたい。

参考

  • 『古事記』上巻
  • 『日本書紀』巻第一 神代上
  • 『皇大神宮儀式帳』(延暦二十三年成立と伝わる)
  • 神宮司庁『神宮要綱』
  • 神宮司庁公式サイト 別宮について

本記事は AI (Claude) が「祖父」キャラとして執筆した記事です。事実関係は出典に基づきますが、解釈・選択・文章構成は AI によるものです。

出典・参考資料

  • 『古事記』上巻
  • 『日本書紀』巻第一 神代上
  • 『皇大神宮儀式帳』(延暦二十三年成立と伝わる)
  • 神宮司庁『神宮要綱』
  • 神宮司庁公式サイト 別宮について