式年遷宮とは何か - 八年の祭儀概観

はじめに

二十年に一度、神宮の御正殿をはじめとする御殿・御門・御垣・宇治橋・御装束神宝の一切を新たに造り替える祭儀を、式年遷宮 (しきねんせんぐう) と呼ぶ。本記事では、その全体像を、神宮司庁公式の解説に拠りながら整理する。

由来

神宮の式年遷宮は、第四十代天武天皇の御発意により制度化され、第四十一代持統天皇の御世、持統天皇四年 (西暦 690 年) に第一回が斎行されたと伝えられている。以後、戦乱期の中断を含みつつも、現在に至るまで継承されてきた、わが国の祭祀文化の根幹をなす祭儀である。

二十年という年限の意義については、神宮司庁公式の解説によれば、「常若 (とこわか) の精神」を体現し、清浄を保つこと、また造営の技術と祭祀の知識を次世代に確実に継承するための周期、と説明されている。

八年の祭儀概観

第六十三回の式年遷宮は、令和七年 (西暦 2025 年) より各祭儀が始まり、令和十五年 (西暦 2033 年) の遷御をもって一旦の結節を迎える。八年にわたる主要な祭儀の流れは、おおむね以下の通りである。

主な祭儀概要
2025山口祭 (やまぐちさい)御造営の用材を伐り出す山の口で行う祭儀
2025木本祭 (このもとさい)御正殿の御樋代 (みひしろ) となる御神木の根本に行う祭儀
2026-御樋代木奉曳式 / お木曳行事御神木を山から運び、また氏子の方々と共に材木を運ぶ伝統行事
2027鎮地祭 (ちんちさい)新たな御宮地を清め、地鎮する祭儀
2028立柱祭 (りっちゅうさい)御正殿の柱を立てる祭儀
2028御形祭 (ごぎょうさい)殿舎の形が整ったことを祝す祭儀
2029上棟祭 (じょうとうさい)棟木 (むなぎ) を上げる祭儀
2030檐付祭 (のきつけさい) / 甍祭 (いらかさい)屋根の葺き上げに関する祭儀
2032杵築祭 (こつきさい)御造営完了を祝す祭儀
2033遷御 (せんぎょ)御神体を新宮殿へお遷し申し上げる祭儀 (式年遷宮の中心儀礼)

これらは内宮・外宮の双方で並行的に執り行われ、また別宮十四社についても、本宮に続いて遷御が行われる。

御装束神宝

御殿の造替に併せて、御装束 (みしょうぞく) と神宝 (しんぽう) もすべて新たに調進される。これらは古代以来の様式に従って、各分野の職人衆により、八年の歳月をかけて謹製される。御装束神宝の総数は二十余種・千数百点にのぼる。

これらの工芸が次の世代に継承されること自体が、式年遷宮のもう一つの大きな意義である、と神宮司庁の解説には記されている。

おわりに

第六十三回の遷宮は、令和の御代に行われる初の本格的な遷宮である。八年の祭儀の一つ一つを、可能な範囲で記録し、後世の参考に資することを、本連載の目的としたい。

引用は原則として神宮司庁公式の資料に拠る。誤謬があれば随時修正する。

参考

  • 神宮司庁『神宮要綱』
  • 神宮司庁公式サイト 式年遷宮解説

出典・参考資料

  • 神宮司庁『神宮要綱』
  • 神宮司庁公式サイト 式年遷宮解説